えほんのはなし13「わらべうたときかん坊」

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ねこひさんのえほんのはなしが届きました。

6月は家で過ごす時間が長い梅雨の時期、
雨音をききながら子どもと向き合うわらべうた

文 / ねこひ

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『あかちゃんとお母さんのあそびうたえほん』
『子どもとお母さんのあそびうたえほん』

小林衛己子編、大島妙子絵、のら書店、1998・2000年刊

図書館勤務や保育園のボランティアなどでわりとたくさんの子どもたちを見てきたけれど、
全く見たことのないタイプの3歳児だった長男と違って、
「ザ・3歳児」という感じのやんちゃっぷりで周りを和ませる次男。

ほほえましく思いながらも、仕事のピークなど幾つかのヤマが重なるとついキーッとなってしまい、
なれば息子は更に荒れ...と悪循環していたある日。深呼吸して、どうしたらいい循環を作れるかな?
と問いを作ったら、ふと長男と2歳頃楽しんだ手遊びの絵本を思い出しました。

何かが(というか、目をかけてあげることが)足りてないんだろうな、とわかってはいても、
立ち止まることのない日々に追われているとどうしていいかさえわからなくなります。
この絵本は、そんな親子の救世主。

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千葉県で長年子どもたちとわらべうたで遊ぶ活動を続けてきた小林さんの編集で、0-2歳、3-5歳との子どもとの触れ合いにぴったりな遊び歌が紹介されています。
子どもたちと体をくっつけ一緒に歌うと、我が子の可愛さにはっとすること請け合いです。
とっても嬉しそうな、幸せそうな顔を見せてくれるからです。

「お母さん」の立場で子どもを見ていると、つい衛生管理や栄養管理など、親としての自分の責任を果たすことに捉われ、忙しい毎日の中で大切なことを忘れがちになります。
でも、ほんの10分。お風呂の中や眠る前、ただ子どもの方だけを向いて歌ったり、触れることで、
何かとっても大切なものがこちらへ流れてくる気がするのです。

それを受け取らなかったら勿体ない。もうわらべうたは卒業かな?と思っていた2年生の長男も、懐かしい歌を一緒に口ずさんでにこにこしています。今その子に歌う歌は、その子の中にずーっと残ってゆくかもしれない。
そんな気持ちがしながら、遠くの、いつか私もいないようなときの子どもたちにも届くように歌っています。
子どもとの甘い時間は小さい頃のほんのひととき。キーッとなることがあっても、ちゃんと甘い方の思い出も残るはずだから。

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「わらべうた」というと古臭いイメージがつきまといがちですが、昔からの知恵はすばらしい奥深さを持っていると改めて実感します。
小林さんのわらべうた絵本は幾つかありますが、この2冊は特に、大島妙子さんの絵がそういった古臭さを一蹴し、手に取りやすいすてきな仕上がりです(キングレコード社よりCDも発売。アマゾンで試聴できます)。
出産祝いなどにも喜ばれるかもしれませんね。

実際次男へは、長男の時ほど沢山できたわけではないのですが、本を手にするという行為自体、
気持ちが彼に向かっているということで、それが本人にも通じたのか、この頃からとても穏やかになってきた次男坊です。時々「まゆげ触って」など、絵本に出てきた遊びを要求したりします。
居間の片隅に置いておくと、夫が気が向いた時に手に取り、子どもたちと遊んでくれるという副産物もありました。

「小さい子は上へ上へと育てるのではなく、横にふっくら育てるもんだ」

あとがきで紹介されている遠野の阿部ヤエさんのお言葉も心に染みます。

小林衛己子さんのHP
http://www.warabeuta.jp/kobayashi2011.htm



amazon→
あかちゃんとお母さんのあそびうたえほん
子どもとお母さんのあそびうたえほん

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『わらべうたカード』ましませつこ絵、茂森あゆみ歌、童心社

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こちらは絵本ではなく、カード式のわらべうたセット。長男誕生の時友達からいただきました。
「歌のお姉さん」茂森あゆみさんが歌ったCDがついているので、馴染みのない歌を覚えることもできます。
色々な遊び方ができますが、最近うちではかるたとして子どもたちがお気に入り。

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絵札を広げ、歌のカードを読み手が歌って読みます。大判の札なので小さい子にも覚えやすいようです。
歌い札には楽譜が書かれ、裏側に遊び方も書いてあるので、演奏したり、ひとつの歌で歌遊びをしたりできるようになっています。

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我が家の子どもたちはかるたが大好きで、一時次男がはまったプラレールかるたを毎晩数回ずつつき合わされたのですが、あまり意味のない読み札を繰り返し読むのがけっこう苦痛でした。
わらべうたカードは読んでいていつも楽しいし、子どもたちは気に入っているおはやしを一緒に口ずさんだり、「くまさん くまさん」で踊り出したりします。

小学生になってクールな表情が増えてきた長男が、このかるたの間は何かよろいを外しているような
柔らかい笑顔を見せてくれ、だんだん「ただ一緒に遊ぶ」ことが少なくってきた私には大切な時間となりました。
ましませつこさんのほんわかした絵には穏やかな祈りが込められているようで、子育てが個人のものではないというような不思議な安心感がわいてきます。

わらべうたはまだまだ奥が深そうですが、導入にぴったりな絵本とカードを今回はご紹介しました。


amazon→ わらべうたカード

(文/ねこひ)

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ねこひ  三月の羊内にある世界一小さな絵本屋

三月の羊 2010年に西荻窪から北海道・大沼へ移住
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北海道大沼での暮らしを綴る→大沼ねこひ日記