Portrait 第4回目はマカロニバスの皆さん。
東京・練馬区を中心に活動されている絵本読み聞かせユニットです。
(左から大久保さん、谷村さん、小野さん)
練馬区内の保育園で10年間続く読み聞かせの活動に加えて、
昨年からは絵本から子育てのヒントを与えてくれる子育て学習講座もスタート!
「絵本の力」をテーマに様々な活動をされています。
長く続く絵本の活動。 どんな風に?どんな気持ちで?
マカロニバスのみなさんの絵本への想いを伺ってきました!
* * *
マカロニバスは3人組 !?
マカロニバスはこれまで色々なメンバーが入れ替わりながらも10年続いてきました。
現在は、谷村淳子さん、小野由希子さん、大久保徳久子さんの3人で活動されています。3人とも出版社で本に関わる仕事をされてきました。更に絵本に関わるさまざまな経歴をお持ちです。
谷村さん・・幼稚園教諭ののち、出版社に勤めその間に読み聞かせの活動をスタート。保育士の資格を持ちつつ、絵本コンシェルジュとして活動。
小野さん ・・長年にわたり出版社に勤めたのち、出産を機に絵本の楽しさに目覚め絵本講師の資格を取得。現在はマカロニバスでの活動のほか、小学校などでも読み聞かせの活動を行っている。
大久保さん ・・出版社で長年、児童書の編集の仕事に携わり、独立して現在はフリーランス編集者。またコーチングの資格も取得して、絵本とコーチングを合わせた子育て講座を開いている。
3人それぞれ個性的な経歴ですね!
年齢が違っても、お互いを信頼する気持ちはとても強く尊敬し合える仲間なのだそうです。
今回、皆さんにお話を伺っている間もその信頼関係がとてもよく伝わってきました。そして、3人ともに絵本への熱い想いを持っていてそれもググ~っと伝わってきましたよ。
マカロニバスは絵本でつながる仲間達なのです^^
はじまりは本屋さん
マカロニバスのはじまりは・・?元々は、出版社で谷村さんがはじめた読み聞かせの活動からスタートしたそうです。
新しく出版された本というのは、書店に置いてもらうために営業が必要。当時勤めていた出版社の絵本の営業もかねて、書店で読み聞かせを始めたのが最初の形なのだとか。
保育園で10年続く絵本の活動
練馬区の某区立保育園での読み聞かせの活動は10年続いているそうです。同じ保育園で10年!
読み聞かせは1才から始まって6才まで・・保育園の卒園を見守ることにもなります。すごいことですね。
10年の間に保育園の運営が変わる状況もありましたが、保育園では読み聞かせの活動を深く理解して、変わらずあたたかく受け入れてくれたのだとか。
今回はその保育園での読み聞かせの見学をさせて頂きました。
〜 読み聞かせの1日
3人で保育園に到着!まずは、ささっと事務室でお互いの本を出し合い打合せをします。
前もって互いに持って行く本を打合せしているので、ここでは本を並べてみて各クラスで読む順番を決め。
1才前半 『だるまさん の』『なーらんだ』
1才後半 『なーらんだ』『れいぞうこ』
2才 『おしくら・まんじゅう』『ちびすけどっこい』『やさいさん』
3才 『くろねこかあさん』『ドラキュラーだぞ』『そらとぶパン』
4才 『ふゆめがっしょうだん』『ドラキュラーだぞ』『びくびくビリー』
5才 『うどんのうーやん』『Gallp!』『せんたくかあちゃん』
緩急つけたセレクトですね!楽しみです。
さて、各クラスで準備が整うと、読み聞かせスタート!
1才前半の赤ちゃん達からはじまり「準備ができました」と呼ばれると各クラスへ読みに行きます。
読む絵本をそれぞれ手にして・・子ども達はワクワク。
そうそう、お部屋に入る時にオリジナルの『マカロニバスの歌♩』を歌いながら入場。ちょっとした可愛い替え歌なのですが、子ども達にとっては読み聞かせのオープニング曲として、切り替えになっているようです。
読み聞かせが始まると、小さい子も大きな子もみんな気持ちが絵本に向かっていました。
ドキドキするお話だったり・・
じーんと優しいお話だったり・・
アハハ!と笑い声が出る楽しいお話だったり・・。
クラス毎に読み聞かせが終わると「はやい~~!」「もうおわり~?」と、子ども達の残念がる声が飛び交います。
読み聞かせの時間が子ども達の楽しみとなっていること、絵本が根付いていることがよくうかがえる瞬間でした。
それにしても、笑ったり、かけ声を入れたりしつつも、じーっと聞き入る子ども達。
こうして集中して聞くことが出来るのも、「継続していることで定点観察の良さが生まれます。毎月の絵本は成長とともにクラスのカラーに合わせて選んでいます」というマカロニバスさんの丁寧な本のセレクトがあるからこそですね。
全クラスの読み聞かせがおわると、保育園の先生が読んだ絵本を撮影してメモします。
どんな本を読んだか保護者の方にわかるように掲示しているそうです。家での絵本選びに役立つサポート、素晴らしいなぁと思いました。
保育園の方が「マカロニバスさんの読み聞かせの時間は私達にとっても心洗われる時間なんです」と話してくださって、
絵本を通してつながるあたたかな輪を強く感じてとてもジーンとしました。
絵本の力で出来ることをはじめよう!
長年の読み聞かせの活動で、3人はお互いにとても良い刺激を与え合ったそうです。
良い意味で影響し合い、今までみんなでコツコツと積み重ねてきたものをなにか形に出来ないかな??
絵本の魅力をたくさんの人に伝える活動が出来ないかな?
と、話ながら・・始めることになったのが2014年からスタートした 練馬区教育委員会委託の子育て学習講座「絵本の力」です。
毎回、その季節にあったテーマで子育てのヒントになるお話をされています。
今までとはまた違う大人向けの活動を始めたことで、絵本に対しての意識が更に広がり、より濃密になったそう。
そして・・この絵本の講座にも参加させていただきました!
ここでは、絵本を通して子ども達とどんなコミュニケーションをとれるか?
子育てのヒントの詰まった絵本の話、そして絵本の奥にある作家の想いなどもお話されます。
谷村さんはクリスマス絵本をたくさん紹介(注:11月のクリスマス前の講座内容です)。
有名な『さむがりやのサンタ』の作者が絵本に込めた想いなどのお話が印象的でした。両親への愛情が詰まった絵本だったことが感じられて、『さむがりやのサンタ』がより一層好きになりました。
クリスマスや冬の絵本がいっぱい!
大久保さんは絵本を通して気づく子育てのヒントのお話。
「どうして?」と子どもに聞いてあげることの大切さを絵本の物語から読み解く・・などなど母親として身にしみるお話にいっぱいメモをとりました^^
とにかくたくさんの絵本が登場する「絵本の力」講座。
今までとはまた違った視点で絵本を選んでみよう!という気持ちになれるので、聞いた後には早速図書館に立ち寄りたくなりました^^
とても楽しかったです!
この講座では順番に2人ずつ講師を務める形にしてるので、この日は小野さんは司会をされていました。
とにかく3人はあ・うんの呼吸で息がぴったり。
時間配分がスムーズだったので、聞いている参加者も疲れずに楽しめる構成だったことも印象的でした。
ちなみに・・この講座は練馬区区民ではなくても参加出来るそうです!
ご興味のある方はぜひ♩
そもそもの、絵本との出会い
それにしても・・マカロニバスさんは、どうしてこんなに絵本が好きなのでしょう?絵本の話をする時、みなさんは本当に楽しそうなのです。
そこで、絵本との出会いは?想い出は?ということを質問してみましたよ。
谷村さん
子どもの頃から絵本が大好き・・その気持ちが大人になってもずっと続いています。
思えば人生の選択でもそれが大事でした。大学選びも、初めての就職で幼稚園の先生になった時にも、子ども達の絵本の反応を知りたいと思って選びました。
自分の中でとても印象的だった出来事は、大学の教育実習の時の体験です。幼稚園の年長さんを集めて絵本を読んだ時、みんなで絵本の中にすっぽりと入るような感覚があって、、自分にとってとても新しい感覚でした。その時に絵本の力をすごく感じたのです。
小野さん
幼い頃の絵本の想い出はほとんどありません。でも、その代わりに夜になると父がおかしな作り話をいつも語ってくれて・・弟と笑った想い出がいっぱいあります。
絵本に興味が沸いたのは、大人になってから。出産がきっかけです。絵本の素晴らしさを発見してからというもの10年、今は絵本を知る事ひとつひとつが楽しくて仕方ありません。
大久保さん
本に囲まれて育った子ども時代でした。父が丸善で買ってきてくれるお土産の洋書絵本が古い想い出。いつも楽しみにしていました。当時、おじさんが絵本の編集者をしていたため、(編集っていう仕事があるんだ)と知ってからは、子どもの頃から絵本を作る仕事をしたいと思っていました。
そうそう、みんなに紹介したくて小学校の学級文庫に大好きな『大草原の小さな家』を持って行ったこともあります。子どもの頃から大好きな本を紹介したいという気持ちは、ずっと変わらず続いている気がします。
絵本選びのコツは?
最後に、絵本選びのヒントも教えてもらいました!日々、どれを選ぼうか?どれを買おうか?と迷うことも多いと思いますので参考にしてみてください。
その1 子どもの心に寄り添う絵本を見つける
想像・創造性あふれる絵本、豊かな言葉のリズム、豊かな心を育み生きる知恵となる絵本。
子どもの心を育んでくれる絵本を見つけられると嬉しいですね!
その2 借りてみる!
図書館をいっぱい使おう!絵本は子どもと読んでみなくてはその良さがわかりません。
その3 おしつけない選び方
例えば、男の子の場合だとある時期になると、車の本だけ・・とか、電車の本だけしか読まなくなったりしますよね。でも、「ほかの本も読みなさい」ではなく、どんどん選びたい本を借りて知識を深める楽しみもあります。
まずは、興味のある本をどんどん借りて、本があるのが当たり前!という環境になればいずれ幅広く読むようになると思います。
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あとがき
「マカロニバスという名前で読み聞かせの活動をしているんです」というお話を谷村さんに初めて聞いたのはもう数年前のこと。
それからずっと、どんな活動なのだろうか?と聞いてみたかった私。
今回はマカロニバスの皆さんの活動に同行させて頂いたり、参加させて頂き改めて、"大好きな事を自信をもって活動することは素晴らしい!"と思いました。
そして私も大好きな「絵本」が、思っている以上にあたたかい力を持っている事を実感させられ、とても心地よい元気をもらいました。
これからも、続いていく読み聞かせの活動や「絵本の力」講座。
マカロニバスがゆっくり元気に走って行くのを応援しています!
マカロニバスの皆さん、本当にありがとうございました^^
★マカロニバスのブログ
絵本子育て講座のお知らせや読み聞かせのエピソードなど紹介しています。
→ マカロニバスの絵本の力 http://ameblo.jp/macaronibus/
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