ずいぶんと前に図書館で借りて読んでから
大好きになって冬になるたびに借りていたこの絵本。
あたたかくてクリスマスを待つ季節にぴったりなお話です。
ハリエット・ジィフェルト/文、アニタ・ローベル/絵。
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物語を読む前に・・このお話は事実に基づいた物語。
オーバーの材料を提供した人々に捧げますと書いてあります。
「戦争がおわったら、あたらしいオーバーを買ってあげようね」
戦争がおわってもお店はどこもからっぽだし、お金もない・・そんなところから物語は始まります。
オーバーが欲しいけれどお店にない・・そんな時はどうしましょう?
お母さんは家にあるすてきな物で材料を手に入れようと考えます。
まず訪ねたのは農家。羊毛と大事な金の時計を交換してもらいに。
交換するよ!でも羊の毛をかる春まで待つのが条件です。
冬の間、日曜になると羊たちを訪れて「ねえ、毛、のびた?」と聞くアンナ。
そして春!無事に羊の毛を分けてもらいます。
次は、糸つむぎのおばあさんのところへ。ランプと引き換えに紡いでもらいます。
ここでもすぐには出来上がりません。夏までまってやっと毛糸がもらえました。
毛糸を染めるのはお母さんの仕事。赤い色に染めるのはどんな材料でしょう?
赤い毛糸に染める工程の挿絵はとても美しく大好きです。
染め上がった毛糸は今度ははたやさんで織ってもらい・・
その次は仕立屋さんで縫ってもらいます。
家にあるすてきなものと交換しながら。
そして、ついにアンナの赤いオーバーが完成しました!
羊の毛糸をもらいにいったのは冬。
オーバーが出来上がるのに1年かかりました。
絵本を読み進めていくと、このショーウィンドウに飾られたオーバーがピカピカと輝いて誇らしく感じます。アンナと同じ気持ちですね。きっと。
クリスマスイブの夜。アンナとお母さんはコートを作ってくれた人達を招きます。
なんとも暖かな食事の時間。クリスマスはこうでなくては。
ありがとうの気持ちに満たされる夜です。
戦争の後のなにもない時代。というと、もっと荒んだ気持ちだったのでは?と思いますが
いつの時代でも、心強く持っていればこうしてあたたかな出来事に出会えるのかもしれません。
この本を読み終えるといつも「なんてステキな話なんだろう!」と言ってしまう私。
ですので、息子達には「ママの好きな絵本」として記憶に残るかな?
そして、母と子では少し感想が違って・・
私にとっては、心があたたまる1冊。
息子達にとっては小さなアンナとお母さんが、がんばってオーバーを作る話のようです。
「羊の毛で作るんだ〜」って。それも面白いですね。
毎年、図書館で借りていたこの絵本ですが、今年はついに買いました。
私のために^^
文/yuki(FLYERS design.)
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