青い空と白い雲と蝉の声・・子どもたちの夏休み。
8月は、いわさきちひろ「ぽちのきたうみ」。
海が美しい絵本を選びました。
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夏の絵本といえば思い浮かぶ「ぽちのきたうみ」。
文章は限りなく少なく、目に飛び込む色の美しさを感じる絵本です。
夏、入道雲を眺めたり、海の香りや夕暮れのヒグラシの声を聞くと・・子どもの頃の夏休みの記憶が鮮やかに蘇るときがありませんか?
そして良かったことも悪かったことも懐かしく思えるような。。
この絵本はそんなふとした気持ちが詰まっています。
ページをめくるたびに美しい景色。
黄色い麦わら帽子、赤い水筒・・そして独特の海の色。
物語は、海でぽちを待つ女の子の話。
待っている間の気持ち、そしてぽちがきた!と喜ぶ気持ちを表現するページもとっても良いのです。
子どもの頃ってなにかを楽しみに待つということがなぜかよくありますよね^^
その気持ち「ああ、わかる!」と共感できるはず。
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「ぽちのきたうみ」は至光社から発行されたシリーズで、ほかにも「ゆきのひの たんじょうび 」や「となりに きたこ
」などがあります。
このシリーズはいわさきちひろが画家として壁に突き当たった時に産まれた絵本なのだそう。
当時、編集だった武市八十雄とともに彼女しかできない「絵本」の表現を探り、作り上げたものなのです。
それでなのか、本の最後に「この本をつくったひとだち」という記載があります。
印刷、製版、用紙、インキ・・普通は記載されないものですが、多くの人が関わって出来上がった絵本だということが感じられますね。
絵本の原画展などに行くと、原画の色が美しいのに印刷されるとそれがあまりわからない・・なんてことがありますが、この至光社のシリーズは本当に色が美しいのです。
きっと印刷するにあたっても、とても苦労と努力があって出来上がった絵本なのかなと感じました。
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夏の終わりに読むにはちひろさんの絵本はぴったり。
きれいだな。
かわいいな。
懐かしい。。
なんて小さな気持ちを感じつつ、最後に本を閉じたら少し元気になる絵本です。
文 / yuki (FLYERS design.)