Portrait 第2回目は武蔵野市に住む折田加奈子さん。
折田さんは児童書出版社で幼児の知育本や子ども向け絵本の編集の仕事をされています。
今年、元気な女の子を出産されて、ただいま育休中。
お宅に伺うと、まだ5ヶ月の小さな赤ちゃんを抱っこして出迎えてくれました。
編集担当されている絵本たち。せなけいこさんの絵本や「ねずみくん」シリーズ。
せなけいこさんといえば、『ねないこだれだ』や『おばけのてんぷら』などですね!
* * *
折田さんと出会ったのは絵本がきっかけですが、私が魅かれたのは折田さんの暮らしと家づくり。
ぜひ!と、お願いして今回、お話を伺うこととなりました。
ダイニングとリビング、キッチンが広々とつながった1階には、アンティークの家具やランプ、明るい日差し。
折田さん夫婦の好きなモノ、好きなことが集まるとても居心地よい空間です。
そして、大きな窓から見えるリビングに沿うように広がる庭。開放感いっぱい!
庭の半分はウッドデッキになっていて、気候がよい季節には外でごはんを食べたり、バーベキューをするそう^^
キッチンの窓辺に並ぶ小瓶。さりげなく草花が飾ってあります。
初めて訪れた時に(きっと庭のお花を摘んで飾ったり、育てたりする事が好きな人なんだ)と、こっそり思いました。
緑のある暮らしができる家を探して、見つけた場所。
そこが今日のお話のヒントです。
絵本で夢見た暮らし
子どもの頃からずっと絵本が好きだったという折田さん。
この日はたくさんの絵本を見せてくださいました。
最初は、子どもの頃に大好きだった絵本。
『ジャムつきパンとフランシス』、『おじいさんの小さな庭』。
子どもの頃から、絵本の中にある外国の暮らしの一コマや、可愛らしい部屋づくり、食卓などに心惹かれたそうです。
例えば、『ジャムつきパンとフランシス』の中では、主人公のフランシスが学校なのに、ナプキンを敷き小さなお花を飾ってごはんを食べるシーンがたまらなく好きだったり、、。
『おじいさんの小さな庭』では、美しい庭園ではなく自然に咲く花を愛するおじいさんの暮らしぶりが好きだったり、、。
この絵本が大好きで、子どもの頃に描いた絵。見せて頂きました^^
そして、少女時代になると『長くつ下のピッピ』、『赤毛のアン』!
憧れのアンの暮らし。ピッピのジンジャークッキー・・。
外国の絵本のようなすてきな暮らしを夢見た少女時代。
でも、大人しく過ごすより、ピッピのようなわんぱく少女だったそうで「木登りは大得意だった!」とか。
子どもの頃過ごした社宅の向かいに登りやすい木があって・・
3階にある家の高さまで登って、お母さんを驚かせたそうです。
絵本をいっぱい読んだ子ども時代、小学生の頃の文集に書いた将来の夢は『本をつくる人になりたい』。
(そうすれば、もっといっぱい素敵な絵本を見る事ができる)と思ったのだとか。
まさにそれを今、実現しているなんて、すてきですね!
緑が見える家に暮らす
高校生の頃好きだった絵本は、より庭や緑を感じる絵本。
『木はいいなぁ』『ぼくの庭ができたよ』。
家の窓から見える景色が緑だったらいいな。素敵な窓枠から庭を眺めたいな。お花の地植えもしたいな。
絵本から始まって、自分の住みたい家の形が見えてきたそう。
そうそう、こんなエピソードが。
子どもの頃、母が家の庭に咲いた、なにげない花を学校に持って行かせてくれて・・先生は教室に飾ってくれたそうで、小さな出来事だったけれどそのことが誇らしくて、それ以来、時折、学校に花を持っていく日はとても嬉しかったのだとか。
野の花をきれいにくるんで、誇らしげに学校へ持って行く女の子。絵本になりそうなエピソード。
野の花はいつでも折田さんにとって特別な存在。それはずっと変わらないことだったようです。
家での時間
家が好きな人はコツコツ作る趣味が多いと思いますが、折田さんもやはり多趣味!
刺繍、消しゴムハンコ、切り絵、、手を動かすのが好きなのだそうです。
でも、特に好きなのはやはりお花のこと。
10年程前からずっと習っているフラワーアレンジメント。、その時間が一番無心になれるのだとか。
作業テーブル周りは特別な場所。自分の好きな物だけをぎゅっと集めています。
リビングには、たくさんのボードゲーム。外国のボードゲームや懐かしいものまで、いろいろ。
子どもの頃、ボードゲームが大好きだったけれど、家族はたまの週末や年末くらいしかやってくれず、もっといっぱいやりたいな、、と思っていたそうで、「今は好きなだけ出来ます!」と話す折田さん。友人達が遊びにきた時など、みんなでボードゲーム大会をするそうです。
お酒の準備もバッチリの大人のボードゲーム大会!楽しそうですね^^
編集の仕事と夢の絵本
※せなけいこさんの切り絵の原画。
仕事では作家の方のお宅で打合せも多く「家を素敵にされている方が多いので、先生の家を訪問することや、お話することはとても楽しみ」なのだそう。編集の仕事の楽しい時間のひとつ。
でも、やはりひとつの本を作るということは、とても大変な作業なので、制作に入ると心も体もハード。形になった時は喜びもひとしおですが、書店に出来上がった本が並んでいるかを見に行く時は、ドキドキするそうです。
作るだけではなく、そのあとに誰かの手に届くかどうかも編集の仕事のひとつということですね。
そして編集者として、いつか作りたい絵本は大好きな庭の絵本。
折田さんの夢の絵本ですね。子どもの頃から好きだった庭のあるお話。
きっと形になるはず!
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あとがき
玄関には手作りのリースが飾ってあったり・・
集めた民芸品やいただきものの民芸品などがずらり。
娘には「ピッピのような女の子になってほしい」と話していた折田さん。
きっと暮らしを楽しむお父さん、お母さんの背中を見てピッピになれる!と思います^^
絵本から始まった庭のある折田さんの家は、心地よさがいっぱい集まる場所でした。
子どもの頃に心に残ったキラキラしたものを忘れず、自分が好きだと思う事をまっすぐに見つめて、少しずつ集めている・・そんな場所ですね!
折田さん、すてきなお話をありがとうございました。
インタビュー/ y u k i(FLYERS design.)